OV(元隊員)通信
隊員OV(JICAボランティア経験者)のその後 vol.1
川島光彦 OV
青年海外協力隊 隊次:昭和61年度2次隊 職種:稲作 派遣国:
セネガル共和国

川島OVはセネガルでの協力隊時代にディスコ(クラブ)で朝まで飲んで自宅に戻るときにいつもあったパン屋が忘れられないという。
早朝の帰り道にたなびくフランスパンの香りにいつも誘われていた。
フランスの植民地だったセネガルはバケット(フランスパン)がとても美味しかったのだと。
そんな川島OVは帰国後隊員時代の稲作職種を生かし、農協の営農指導員として働き7年ほど過ぎた頃、セネガルで食べたパンを忘れられず、独立してパン屋の道を目指すことになる。
製パンの本を読みあさり、そのうち何冊かの気に入った本の作者が同じことに気づく。すると川島OVはこの作者に自分に製パンを教えて欲しいという内容の手紙を送る。
返信には「私は東京でパン教室を開いているので、来てみなさい」と誘われ、3年間パンの勉強のために東京に通った。
そしてついに2001年に新潟市太夫浜に待望のパン屋「エミタイ」をオープンする。
ちなみに「エミタイ」とは現地の言葉で神様を意味すると同時に、現地に実在するパン屋の名前であるらしい。
開店準備に奔走していたある日、粉屋に自分の焼いた食パンを自慢しに行った時のことである。たまたま居合わせた新潟の有名パン屋に勤めていた職人さんに「そんなパンでは売れない!」と言われてしまう。同時に、「君が協力隊でセネガルにボランティアで行ったのだから、今度は私がボランティアで君にパンの作り方を教えよう」と言われ、なんとオープンから半年もの間、お店を手伝ってくれたのだという。さらに当時、時間のあったOB隊員にもしばらくの間手伝ってもらうは、川島OBの人柄によるものだろう。
エミタイは敬和学園高校の入口に位置し、近くに新潟医療福祉大学もあり、平日は学生さんで、土曜日は新潟市街からのお客さんでにぎわっている。
おすすめはメロンパンと木曜日のみに販売するフランスパン。お近くに御用の際には足を運んでみてはいかがだろうか。
http://sky.geocities.jp/emitai_ousmane/
焼きたてパンのいい香りが新潟の青空へ吸い込まれていく様子はセネガルのそれと同じであろう。
川島OBの見つめる先にはアフリカの大地と人々が映し出されているに違いない。